「動かしにくいものを、動かす」
AIによりビジネスのあらゆる場面が加速しており、スピードはいまや欠かせない武器です。一方で、速さだけでは動かせない領域があります。数万人が関わる業務、数百億円規模の予算、数十年蓄積されたデータなど、本当に大きな価値が眠っている場所は、速さだけでは動きません。
これまでコンサルタントとして、多くの中央省庁や大手クライアントの変革に携わってきましたが、どの現場でも共通して向き合ってきたのは「動かしにくさ」でした。外から見ると非効率で遅く映りますが、内側に入るとその遅さには合理性があります。レガシー資産、過去の判断の累積、規制との整合性、現場業務の複雑な実態など、どれも軽視できない制約として存在しています。
動かしにくいものを動かすのに必要なのは、外からの評価ではなく、構造への深い理解と、現場との粘り強い対話だと考えています。これは、技術がどれほど進歩しても変わらない本質です。学生時代からコンピュータサイエンスに携わり、技術の進化を真横で見続けてきましたが、AIをはじめどれほど新しい技術が登場しても、巨大な組織がそれを受け入れるプロセスは大きく変わってきません。むしろAIが「正しい答え」を高速に出せるようになるほど、その答えを組織に実装する力の重要性は高まっていくはずです。
動きにくいものを動かすこと——そこにこそ、これからのコンサルティングの本領があると考えています。

